- 見つけたヒスイを加工してもらえますか?
- ヒスイ海岸の近くにあるヒスイ屋さんに持って行けば、加工してもらえます。
ただ、あまり小さいヒスイでは駄目でしょう。
ヒスイ屋さんが分からなかったら、
北陸新幹線糸魚川駅前のヒスイ王国館でもお願いできます。
加工にかかる期間はバックオーダー次第、価格は内容によりますが、
原石を持ち込んだからといって、買うより安くはないです。
お店に売っている既製品とたいして値段は変わりません。
ヒスイ製品の値段は、よほど高価な宝石ヒスイの場合を除いて、
大部分は加工賃とお店の儲け分だからです。
だったら、見つけたヒスイ原石はそのままにしておいて、
既製品を購入した方がいいとも思ってしまいます。
それでも自分が見つけた、自分だけのヒスイをいつも身につけておきたい
という気持ちも分かります。
勾玉にしたいなら、外側はなんとか自分で削れても、
穴だけは開けてもらった方がいいでしょう。
地元のヒスイ探しのおじさんは、自分で見つけたヒスイをベルトのバックルにしていて、
自慢そうに見せてくれます。
私としてはあまり見たいものではありませんが。
アクセサリーや印鑑にしたい場合は、
それぞれ専門のお店にお願いした方がいいでしょう。 - ヒスイの取り扱い方は?
- 拾ったヒスイ原石は、海水で濡れていたものなので、
いちおう真水で洗って、乾かしておきましょう。
塩分が残っていてもヒスイにはほとんど影響しませんが。
ヒスイは堅牢で、化学的にも安定しているので、
それほど慎重に取り扱う必要はありません。
ぶつけたり、落としたりしても通常は問題ありません。
超音波洗浄器にかけて洗うこともできます。
ただ、ヒスイ原石の内部には幾筋も亀裂が入っているのが普通で、
亀裂の部分から割れ易い性質があるので、
大きな亀裂が明らかな場合は、ていねいに取り扱い、
衝撃を与えないようにしましょう。
熱にも強く、てんぷらの揚げ油の中に落としても、直火であぶっても、
短時間ならなんともありません。
ただし、購入したヒスイで、表面を樹脂コーティングしてあるものは、
そんなことしたらたちまち樹脂が失われてしまうので、ご注意を。
酸・アルカリにもかなり強いので、日常的取り扱いなら心配いりません。
ヒスイの硬度は6.5くらいですが、砂埃(石英)の硬度は7くらいあるので、
埃が付いたままこすると、表面に細かい傷が付いて、
光沢がなくなっていきます。拭くときは埃を払ってからにしましょう。 - どうしてもヒスイを見つけられない人のために。
- ポイント1.お気に入りの海岸で探しましょう。
単にヒスイ海岸といっても、実際にはヒスイが拾える海岸は
10以上もあります。1箇所で見つからないからといって、
あちこち海岸を移動するのでなく、自分のフィーリングに1番合う
海岸を見つけて、そこでじっくり探すようにしましょう。
糸魚川市にはヒスイ海岸と呼ばれる場所がありますが、
それよりも少し西寄りの青海海岸、親不知海岸の方が遭遇率が高いです。 - ポイント2.時間に余裕を持って探しましょう。
旅行の日程の一部にヒスイ探しを組み込んで短時間探してみても
なかなか見つかるものではありません。
本当に見つけたいなら、ヒスイ探し中心の計画を組んで探しましょう。
ポイント3.宝石ヒスイばかりを探していませんか。
宝石になるようなヒスイは、地元の人でも滅多に見つけられるものではありません。
大きい原石もなかなかありません。
白や灰色のもっと普通っぽいヒスイから探していきましょう。
ただの石みたいでも、ヒスイらしいものはとりあえずキープして、
後でじっくり見分けるようにしてみましょう。
海岸では、多分ヒスイではないと思っていた石が、
実はヒスイだったということも良くあることです。
捨ててしまって後で後悔するよりも、持ちかえって磨いてみるのも一つの方法です。
ポイント4.平常心で探しましょう。
ヒスイを探していることを恥ずかしがる必要はありません。
また、欲望に眼を血走らせたりはしていませんか。
どちらもヒスイ探しにはマイナスです。
リラックスして、ヒスイを探すこと自体を楽しむようにしましょう。
ポイント5.ヒスイに呼びかけてみましょう。
もしかしたら、ヒスイもあなたに見つけてもらいたがっているかもしれません。
やさしい心でヒスイに呼びかけてみたら、
ヒスイがあなたに居場所を教えてくれるかもしれません。
鑑定の小道具。
私がヒスイ鑑定に使っている小道具を紹介します。
① ルーペ
眼のいい人でもルーペはあった方がいいです。鉱物の表面の細かな様子や結晶の大きさ、形などを見ることができます。
倍率は5~10倍くらいのもので十分です。
デジカメで写真を撮るときに、ルーペで大きくして撮ることもできます。
② 双眼実体顕微鏡
20倍のもの(Nikon製 ファーブルミニ)を持っています。
ルーペより大きく、立体的に見ることができます。
30倍でもっと安いものも出ているようです。
③ アーミーナイフ
本当は硬度ペンを持っていればいいのですが、3本セットで5,000円だったため買えませんでした。それでアーミーナイフを使っています。
石にナイフで傷を付けて見ます。ヒスイなら傷が付かないはずです。
ただし、ナイフの刃先が削れて石の表面に線が残ることがあります。
傷なのか、線なのかは双眼実体顕微鏡で見分けています。
④ マグライト(ペンライト)
部屋を暗くして(またはコタツにもぐり込んで)石に光を当て、光が通過するかどうか見ます。
良質なヒスイなら光を通します。
⑤ ブラックライト
紫外線を出します。蛍光を発する鉱物を見分けることができます。
ヒスイは普通、蛍光はありません。
⑥ 塩酸
10%濃度くらいの塩酸をビンに入れて持っています。
綿棒に浸して石に付けてみます。石灰岩なら泡が出ます。
ヒスイに付いたサビもこれで落とせるそうです。
⑦ メスシリンダー
100mlのメスシリンダーを持っています。
比重を量るために、石の体積を測定するのに使います。
10~30gくらいの石に使えます。
これより大きい石の場合には、もっと大きいメスシリンダーが必要になります。そのときは研究室のをちょっと借りて使っています。
⑧ デジタル秤
0.01gまで量れるデジタルの直示天秤を(借りて)使っています。
⑨ 鉱物図鑑
一冊では済まず、色々と買い揃えることになりました。
⑩ ヒスイ原石
もしかしたらヒスイを見分けるにはこれが一番かも知れません。
きちんと鑑定してもらった、これぞヒスイというものを標準にして、
手触り、色、光沢、重さ、音、冷たさなどを比較します。
ヒスイ写真の撮り方は?カメラは、もらいもののデジカメ、150万画素のものを使用しています。
一眼レフカメラもマクロレンズも持っていますが、
デジカメは現像に出す手間がなく、その場で確認して何度でも撮り直しが出来るのがいいです。
かなりマクロ(接写)撮影に強いのも有利です。
私のデジカメで、10cmくらいまで寄れます。
ただデジカメは、勝手に補正してくれるため、それが問題になることもあります。背景がうるさくならないように、白または黒の紙または布を敷いています。
色付きの石は背景が白の方がいいようです。
白い石を白く写すには背景が黒っぽい方がいいようです。
ただし、白い石が小さ過ぎると、背景全体を明るくしてしまうためうまくいきません。
背景が白だと全体がぼやけたり、青っぽくなったりして、撮影が難しいです。
背景を灰色にした方がいいのかも知れません。
近寄って撮るときは手ブレし易いため、ミニ三脚を使って固定します。
ミニ三脚でカメラを下向きに付けると、そのままでは重心がずれて倒れます。
撮影の間、三脚を手で抑えています。
撮影はマクロモード、高画質に設定します。
液晶モニターで写り具合を確認します。
シャッターを切るときに、特にカメラがぶれ易いので、セルフタイマーを使って撮影します。
これだとカメラがぶれないで、ピントの合った画像が撮れます。
石が特に小さいときは、デジカメと石の間にルーペを入れます。
ルーペとデジカメレンズの間に距離があると、ルーペに景色が写りこんだりするので、
デジカメレンズにぴったりくっつけた方がいいようです。
撮影は日中の晴天、うすぐもりのときを狙って屋外で撮影します。
蛍光燈の下や、フラッシュでは、どうも上手く撮れないためです。
快晴の場合は、影がはっきり出てしまいます。
曇天の場合は、色が青っぽくなるようです。
背景を黒にすると、影を目立たなくできます。
石の置き方、デジカメの向きなど色々変えて撮ってみて、いいものを採用します。
後は、画像処理ソフトを使って、できるだけ元の石の色に近くなるように補正し、
トリミング(切り抜き)し、jpegのデータ量を落としたら出来あがりです。
一つあるところには二つある?海岸で運良くヒスイを見つけたら、その周囲を探してみるともう一つヒスイを見つけられることが多いそうです。
本当でしょうか?確かに、同じ海岸の中でもヒスイが打ち上げられ易い場所というのはあるようです。
もしも、寄せ波返し波、潮の満ち引きが地形とあいまって、天然のパンガケが行われるような場所があったとしたら、ヒスイは他の小石より重たいので、ヒスイだけが集まるところもあってよさそうです。
ただ、もしそんな場所があったとしたら、たちまち地元のヒスイ愛好家の人達に見つけられ、残らず取り去られてしまうことでしょう。
現実には、ヒスイの集まり易い場所には、他の小石も多く打ち上げられていることが多いようです。
それでも、そのときは1個しか見つけられなくても、次に来たときにほぼ同じ場所でヒスイを見つけるということも良くあります。
単に成功体験がそう感じさせているだけかも知れませんが、1個見つけられたということは、きっと他の場所よりも見つけられる可能性が高いと考えて、しっかり探してみるのもいいと思います。ヒスイになりそこねた石って何?海岸で拾ったヒスイを地元の人に見てもらうと、よく、「これはヒスイになりそこねた石だ。」と言われることがあるそうです。
ヒスイになりそこねた石ってどんな石なのでしょうか、キツネ石とは違うのでしょうか。ご存知のように、ヒスイは変成岩の一種で、岩石が地下で熱と圧力の影響を受けて生成した鉱物とされています。ですから、変性作用が不十分な半ヒスイというものも当然あっていいことになります。
通常は、蛇紋岩でちょっとヒスイっぽいところのある石や、一部ヒスイ化した曹長岩のことをヒスイになりそこねた石とか、ヒスイになりかけの石と呼んでいるようです。
これらの石は、薄片を屈折計で見れば一部にヒスイ輝石を含んでいることが確認される可能性もあり、そういう意味でキツネ石とは異なるものです。
また、これは蛇紋岩の名残を残しているヒスイ原石だとか、あたかも蛇紋岩からヒスイ原石が出来るように説明される場合もありますが、鉱物学的には蛇紋岩の方がヒスイよりも地下深部で生成されるそうなので、蛇紋岩からヒスイになるということはないようです。
ただ、巨大なヒスイ原石の成因については、まだ未知の部分も多く、私達が見つけたヒスイやその他の岩石がその謎を解く手がかりになったり、新鉱物の発見につながる可能性もあるのです。ヒスイは、なぜよく光るのですか?
ヒスイ自体が光る訳ではありませんが、海岸でよく光って見える石を拾ってみると、それがヒスイだということがよくあります。なぜでしょうか。
その理由はいろいろ考えられますが、
① もともとヒスイには白っぽい石が多く、よく光を反射し易い。
② ヒスイの表面が緻密で滑らかなので、よく光を反射する。
③ ヒスイは角張っていて、平面がある場合が多いので、特定の方向に強く光を反射し易い。
だいたいこのようなことだと思います。
もう少し詳しく説明しましょう。
① ヒスイの色は基本的には白色です。光を吸収しにくく明るく見え易いことになります。
② 砂岩や凝灰岩のように、堆積岩や火成岩は表面がざらざらしているものが多く、表面で光の乱反射と吸収が起こるため、光って見えにくい。一方ヒスイは緻密で均質であるため、海岸で磨かれるうちに表面が平滑になって光を反射しやすい。
③ 丸い石は面のカーブに沿って光を反射する方向も変わりますが、ヒスイのように平面がある石の場合、光の方向、石の向き、人の位置によって、特にピカッと光って見える場所があり、ヒスイだけが強く輝いて見える。
これが光って見える理由なのです。
でも、光って見えるのはヒスイだけではありません。石英もよく光ります。
石英も白っぽく、角張っている石です。
ヒスイほど緻密でないため、表面はざらつくことが多いのですが、水に濡れると、表面のでこぼこを水膜がおおって、表面を平滑にしてくれます。しかも、石英の表面での光の反射率と、水面の反射率がかなり近いらしいのです。それで、濡れた石英はまるで石自体が強く光っているように見えてしまうらしいのです。
光っている石を拾ったつもりなのに、乾いたらちっともきれいでなくなったとしたら、それは石英の可能性が高いのです。
一方、石英の仲間でもあるチャートは、表面がざらつきにくく、ヒスイと間違え易い石でもあります。
自分で勾玉は作れますか?良くヒスイ原石を見つけられたら、自分で勾玉を作ってみたいと思う人もいることでしょう。
作れます。実際に作っている人もいます。
ただし、それなりの道具と、なにより根気強いことが必要です。
ヒスイは硬さ自体はそれほどでもないため、砥石で削り、紙やすりで磨くことができます。
一方、緻密で強靭な構造を持つため、はやりの電動工具などでは削ることさえ難しいです。
超硬ドリルなどを使えば、すぐに穴など開けられそうに思うかもしれませんが、
ほとんどの場合、金属製のものでは歯が立ちません。
どんなに硬い金属でも研磨時に熱を持ち、柔らかくなってしまうせいでしょうか。
石には石を使う必要があります。
古代人は、穴を開けるとき、管錐という特殊な工具と、石英砂を研磨剤として使ったそうです。
現代人ならば、ダイアモンドカッターやコランダムエメリーを使うところでしょうか。
勾玉に穴を開けるのは、プロの古代人でさえ難しかったらしく、
途中で割れてしまった未完成の勾玉も多く見つかっているようです。
穴開けだけはプロの加工業者さんにお願いした方がいいかもしれません。
もちろん、古代人に習って、管錐を自作して挑戦するのが一番いいことでしょう。ヒスイの色は変りますか?天然のヒスイであれば、通常は色が変ることはありません。
もし購入したヒスイの色が変ったとしたら、
きっと、安物の着色ヒスイを買ってしまったのでしょう。ただ、最近の研究では、白ヒスイにX線を照射するとかなりの確率で紫色になることが分かっていますから、今後はラベンダーヒスイとして売られているヒスイには、放射線照射で発色させたものが出てくる可能性があります。
ブルートパーズなど、放射線で発色させているものは、強い光に当てると退色するそうですから、ラベンダーヒスイもあまり直射日光には晒さない方がいいかも知れません。
また、ヒスイは不透明なものが多いですから、削ったり研磨したりして、新しい面を出すと、これまで見えていなかった色が出てくることもあるでしょう。
海岸のヒスイ原石は表面が少し荒れていて、乱反射により白っぽく見えているものも多いですから、ヒスイ自体の色は変らなくても研磨することによって内部の色が鮮やかに浮かび上がってくることもあります。
それで、始めは白っぽいヒスイだと思っていたものが、磨いているうちにだんだんと緑色が濃くなってくるということはありますが、内部まで白いヒスイはいくら磨いても緑色になるということはありません。
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