ヒスイQ&A【Part2】

タヌキ石はありますか。
ありません。ただ、ヒスイに化けた石をキツネ石というのに対して、
石に化けたヒスイのことを私が勝手にタヌキ石と呼んでいるだけです。
一目でそれと分かるヒスイはすぐに拾われてしまうため、
化けそこないのタヌキヒスイを見つけるのも
ヒスイ探しの楽しみの一つです。
というか、そういうヒスイしか海岸には残っていないことが
多いだけなんですけど。それから、ウサギ波というのもあります。冬の日本海は荒れていて、
波頭が砕けて白く泡立つことが多いです。
それを地元の人は海に雪ウサギが跳ねていると表現したりします。
そういうときは大物が狙えるチャンスではありますが、
高波にさらわれるおそれもあります。
私達素人は止めておいた方が無難でしょう。

ヒスイの磨き方は?海岸で見つかるヒスイは波に磨かれて、それだけでも十分に美しいものです。
だから特に磨く必要などないともいえます。
ただ、私は以前からそれが本当のヒスイかどうかを見分けるためにヒスイを磨いていました。
ヒスイは磨くことによって飴のような独特の光沢がでてきます。
それがヒスイを見分けるときのポイントにもなります。
原石を大きく削る場合には専用の研磨機が必要になります。
ヒスイは硬さはそれほどでなくても、とても削りにくのです。ここでは、ヒスイの表面だけ磨き上げる方法を紹介します。
どれもホームセンターで購入できるものです。
まず紙やすりで表面のざらつきを取ります。
紙やすりは♯300~♯500くらいの耐水性サンドペーパーがいいでしょう。
少し水をつけて磨いたほうが効果的です。
ここで石がすぐに磨けて、紙やすりが真っ白になるような場合は、
ヒスイでないことが多いです。
また磨いた粉が着色している場合もヒスイではありません。
ヒスイが小さい場合には、テーブルの上に紙やすりを
両面テープで固定して石の方を動かすようにするといいようです。
また、スポンジ状のやすりも販売されており、これを使うと指も疲れず、
石の形に沿って磨くことができます。
仕上げ磨きは、♯1000のフィルム状紙やすりで十分です。
これ以上細かくしてもすぐに磨けなくなるだけで
光沢にはあまり効果がないようです。
もっと光沢を出すにはカー用品のコンパウンドが便利です。
チューブに入っていて少しづつ付けて布で磨きます。
粗目、細目を使い分けるといいでしょう。極細までは必要ありません。
磨いていると表面の透明度が上がり、
内部の色が表面に浮かび上がってくるようになります。
とても美しいですよ。拾ったヒスイは売れますか?よほど値打ち物の宝石ヒスイを見つけたのでなければ、買い取ってはもらえないでしょう。
私達が拾えるようなヒスイ小石を、地元のヒスイ屋さんやお土産屋さんで、
ヒスイ原石として1個500円くらいで売っています。
でも仕入れ値となると、たぶんバケツ1杯いくらとか、kgあたりいくらという取引で、
しかもせいぜい数千円というところではないでしょうか。
加工用のヒスイ原石はkgオーダー以上の重さのあるものを加工し易い形に切断してから研磨していきます。そうでないと作業効率が悪いのです。
私達が拾えるような100g以下の小石では、加工に手間がかかるだけで、
業者さんにとってはありがたくないのです。以前にTVの番組で、親不知で拾ったヒスイに数百万円の値が付けられたことがありました。
そのヒスイは大きく、とても美しいものでしたが、
あの価格は美しい鉱物標本としての価値に対して付けられたもので、
宝石原石として加工するのであったら、とてもあの値段は付かないと思います。

インターネットのオークションやフリーマーケットで、たまにヒスイ原石を売っているのを見かけることもあります。
質が良く、大きさもあるものは、それなりの値段が付けられていますが、買う人もいるようです。
拾ったヒスイによほど自信があるならば、そういう売り方もあるでしょうね。

ヒスイにパワーはありますか?古代日本人はヒスイの勾玉には霊的な力が宿っていると考えていました。
ヒスイ文化は縄文・弥生時代に栄え、古墳時代には次第に衰退していきました。
おそらく仏教伝来によって、ヒスイの勾玉よりも仏像やお経の方が
より魔除けの効果が高いと考えるようになったからでしょう。
ヒスイ信仰は時代の流れの中で、競争に敗れさったのでしょうか。
残念ながら、ヒスイ自体にはなんら特別な力は無いと言えるでしょう。
ただ、物理的な力は持ち合わせていなくても、
人の心に働きかける力はあると思います。
ヒスイの美しい色合いは心にやすらぎを与え、
昂ぶった精神をリラックスさせてくれることでしょう。
ヒスイの力を信じる人にはきっと勇気を与えてくれるでしょう。
直接してくれることは何もなくても、あとちょっとだけ勇気を持てるだけで、
人生って変わっていくと思いませんか。
もしそうだとしたら、それこそがヒスイのパワーかもしれません。ヒスイを拾うときに用意するものは?海岸でヒスイを拾うだけなら、特に必要なものはありません。
普段着のままで十分です。ただし、波打ち際では、波がかかりやすいので、
足は濡れてもいいようにしておきましょう。
裸足では小石で足の裏が痛くなります。ビーチサンダルも足とサンダルの
隙間に小石が入ってしまうのでよくありません。
冬は長靴、春~秋はマリンシューズがおすすめです。
足首にフィットしたマリンシューズなら濡れても平気、小石も入らず、そのまま泳ぐこともできます。
長靴も中途半端はダメ、どうせなら思いっきり長いものを選びましょう。
それと、夏なら日焼け止めと帽子、冬は防寒着でしょうか。
冬は風も波しぶきも強いので、防風性と防水性の高いものを選びましょう。
夏のまぶしい陽射しにはサングラスもあった方がいいですが、
色が変わって見えてしまうものは、ヒスイを見つけにくくなります。
あとは拾った小石を入れるビニール袋があればいいでしょう。
もちろんゴミはきちんと持ちかえりましょうね。最近は手製の道具をヒスイ探しに使う人も多くなりました。細長い棒の先に茶漉しのような網や、カギ爪のようなものを付けたものが多いようです。それぞれ工夫されています。
釣り用?の網を使われる人もいます。
私はまだ使ってはいませんが、こういう道具を使うと、石を拾うときにいちいちしゃがみ込まなくていいとか、波が荒いときにも波に濡れずに済むとか、深いところの石も拾えるなど便利なようです。海岸のヒスイを持ちかえってもいいの?心配いりません。
ヒスイに限らず小石を沢山持ちかえっても問題ないです。
ただし、拾った小石を結局家の回りに捨ててしまうようなら、
次に行ったときに海に帰してあげましょう。
サザエやアワビなどの海産物については漁業権が設定されているので、
採ってはいけないことになっています。
海岸に打ち上げられるワカメを採ったり、釣りはいいようです。
海岸のヒスイを全部拾ってしまったら無くなってしまうのではという心配なら、
それも大丈夫です。
海岸の石は常に入れ替わっています。
今日見つけたヒスイも、あなたが拾わなかったとしたら、
再び海の底に沈んでいくか、次第に磨耗して砂になっていくことでしょう。
ヒスイの消滅を防ぐために、拾い上げて、守ってあげているのだと考えましょう。
そしてできれば密かにしまいこんでしまわずに、みんなに公開しましょう。川でヒスイは採れますか?もちろん川でもヒスイは採れますが、採っていけない場所があります。
姫川の上流の小滝川流域と、青海川上流の橋立ヒスイ峡周辺は、
天然記念物に指定されていて、ヒスイの保護地域になっていて、
ここではヒスイを採ることも、原石を動かすことも禁止されています。
ここ以外の場所ならヒスイ採取は可能です。
海岸のヒスイと違って、磨かれていないものが多いため、
見分けるのは難しいですが、大物が狙えます。
ヒスイを含む蛇紋岩メランジュの岩帯は雨・雪などの水を含むと崩れやすくなり、
数十年毎に大規模な土砂崩れを起こします。
そのときに、ヒスイ原石も河川に流れ落ちます。
蛇紋岩は崩れて次第に海へと流れて行きますが、
ヒスイ原石は重く、頑丈なため川に残りやすく、
残った場所がヒスイ峡なのです。
比較的小さいヒスイ原石は蛇紋岩から壊れながら海岸に流れていきます。
近年でも10数年前に大規模な土砂崩れがあり、
数年前までは姫川でかなりヒスイ原石が採れていたようですが、
最近は少なくなったとも言われます。
鉱物マニアの方は、海岸で探すより、山や川で探した方がきっと楽しめるでしょう。
私も姫川で探したこともありますが、まだ見つけたことはありません。もっとヒスイの見つけ方を教えて。前にもヒスイの見つけ方は紹介しましたが、
ともかく歩いて広いエリアをカバーし、多くの石を見るという方法でした。
どちらかというと上級者向きです。
初心者の人も同じ方法で見つけられるかというと難しいです。
見つけやすいヒスイはもう拾われてしまっていると考えて、
むしろ上級者の逆をいってみましょう。まずヒスイがありそうな小石が集まっている場所を探します。
波打ち際にテトラポッドのある場所辺りが狙い目です。
テトラポットがなくても、潮の流れで小石が集っている場所もあります。
そこにじっくりと腰を落ち着けて、石に近づいて、
眼の位置を低くして、一つづつしっかりと小石を見分けていきましょう。
気になる石は必ず手に取って、よく見ながら手触りも確認しましょう。
上級者が見逃した小さなヒスイが見つけられるかもしれません。
ヒスイらしい石を見つけたら、近くに似たような石がないか確認しましょう。
ヒスイをもう一つ見つけられるかもしれません。
ただし、同じような石が二つ、三つと見つかるようなら、それはヒスイではないでしょう。

さらに表面の石をどかして、下になっている石も探しましょう。
深く穴を掘って見事なヒスイ原石を見つけた人もいます。
ただ、これらの方法は、あまり効率のいい方法ではありません。
小石の層も意外に浅くて、掘っていくとすぐ小砂利の砂になってしまう
ことも多いです。

何時間かかってもヒスイを見つけられずに帰ることになるかもしれませんが、
大切なのはあきらめないことです。
探し続けた時間は、きっと無駄にはならないのです。
もしかしたらあなたが熱心に探している姿を、
すぐ近くでヒスイが見ているのかもしれません。
そして、いつかあなたの努力を認めて、
ヒスイの方からひょっこりとあなたの前に姿を現してくれることでしょう。

比重の量り方はどうすればいいですか?比重は比較的簡単に測定できて、客観的な数字として求められるため、
ヒスイ鑑定の有力な決め手になります。
もし量れるならば、是非量ってみましょう。まず一番基本的な、体積と重量から計算する方法です。
重量は石を電子天秤などに載せて量ります。
体積はあらかじめ水を入れたメスシリンダーに石を入れて、
増えた分が石の体積になります。
重さを体積で割れば比重が出ます。1g=1ml で比重1です。
この方法は分かり易いですが、石の大きさに合ったメスシリンダーが
ないと正確な測定ができないのが欠点です。

次の方法はバネバカリのような、吊り下げ型の重量計を使う方法です。
普通に吊り下げて石の重さを量ったら、次に石を水の中で吊り下げて量ります。
水の浮力の分だけ軽くなるので、その差を元の重量と比較すれば比重が出ます。
精密なバネバカリがなかなか無いのが欠点でしょうか。

電子天秤だけでも比重は量れます。
容器に水を入れて天秤に載せ、風袋消去(重さ0にする。)します。
その水の中に、糸で吊り下げた石を沈め、底につけずに保持します。
このときの重さを量ります。この重さは石の体積分の水の重さです。
次に石を底まで沈めた状態で重さを量ります。これが本当の石の重さになります。
石の重さを体積分の水の重さで割れば、比重が出ます。

もっと簡単なのは、比重3くらいの溶液に石を入れる方法です。
これを重液選鉱といいます。
ヒスイなら沈み、たいていのキツネ石は浮きます。
重液に使える溶液には、トゥーレ溶液とかクレリシ液とかありますが、
水銀を使っていたりして、今では使いにくいです。
有機系の液体では、ブロモホルムとか、テトラブロモエタンなどが使えますが、
いずれも有害なもので、手につけたり、
蒸気を吸い込んだりしないように注意する必要があります。
比較的安全なものに、ポリタングステン酸ナトリウムがあります。
これを水に溶かして100mlを300gに調製すれば、比重3の溶液ができます。
ポリタングステン酸ナトリウムは、アルドリッチの試薬カタログにも載っているので、
化学関係の人(先生とか)にお願いすれば入手できるでしょう。

誰に見てもらえばいいですか?拾った石がヒスイかどうか調べるのに一番手っ取り早い方法は、
誰かに見てもらうことですね。
では誰に見てもらえばいいのでしょうか。海岸には、いつもヒスイ探しをしている地元の人達がいます。
この人達に聞けば、きっと喜んで見てくれることでしょう。
いずれもやさしくて親切な人達です。
ただ、独特の言葉があるので、それが理解できないといけません。
よく、「○○ケイ」という言葉が出てきます。
ケイとは系のことで、「まっ、ケイだね。」と言われたら、
この石はヒスイ系の石だろうということになります。
ヒスイでなければジャモン(蛇紋岩)だとか、アブラ石(軟玉ヒスイ)
だということになります。つまり鑑定レベルもその程度です。
たまに間違いもあります。
きっと色々と話もしてくれるでしょうから、素直に聞いてあげましょう。
後でヒスイをもらえるかもしれません。
私がもらえたのは、ジャモンだけでしたけど。

次は、ヒスイの加工販売をされているお店のご主人でしょうか。
さすがに自分で買い付け、加工されている人は眼が肥えています。
鑑定もかなり信頼がおけます。
ただ、小さかったり、美しくなかったりする商品価値のないヒスイでは、
まともに見てもらえなかったりします。
見てもらった場合には、お礼に何か買って帰りましょう。
おまけがもらえることもあります。
店員さんでは、よく分からないことも多いようです。
ヒスイ原石を買う場合には、よく見てできるだけヒスイらしいものを買いましょう。
みやげ物屋さんではどう見てもヒスイらしくないものを
原石として売っていたりすることもあります。

鉱物学的知識が豊富で、一番信頼がおけるのは、
やはりフォッサマグナミュージアムの学芸員さんでしょうか。
もちろん、先にミュージアムをしっかり見て勉強しておきましょう。
受付で事務の人にお願いすると、学芸員さんに問い合わせてもらえます。
時間があれば無料で鑑定していただけます。
機器分析までお願いする場合には有料になります。
きちんとルールを守って見てもらうようにしましょう。
混雑している日や、団体さんが入っているときは遠慮しましょう。
12時~2時くらいは昼食・休憩時間の場合が多いようですので、
この時間帯は外しましょう。
一度に沢山の小石を並べて、「この中にヒスイはありますか?」
なんていう聞き方はだめです。
見てもらいたい石は数個に限定して、
なぜ見て欲しいか言えるようにしておきましょう。
学芸員さんならば、ヒスイかどうかだけでなく、
ヒスイでなかったらどういう鉱物かと解説してもらえるでしょう。
ただ学芸員さんでも判断に困る石はあります。
鉱物というのは、そういうものなのです。

※ある無くなってしまったサイトの文章を転用しております。また再掲載されるようであればこのページは無くなります。