テトラポッドの石にヒスイはありますか?
ヒスイ海岸には多くのテトラポッドがあります。
このテトラポッドに使われている石の中にヒスイが混じっているのではないかという質問ですね。専門の方に教えていただきました。
ヒスイ海岸のテトラポッドはだいたい、青海町にある明星セメントという会社で作られたもののようです。
そして中の石は、以前は姫川の河原から石を採取して、砕石して使っていたそうです。最近では石灰岩を使うことが多くなっているそうです。
ですから、海岸にかなり以前から置かれているテトラポッドであれば、中にヒスイが混じっていてもおかしくないことになります。
もちろん、だからといってそう簡単にヒスイが見つかるものではありません。姫川の河原や、海岸を探してもヒスイがなかなか見つからないように、テトラポッドの中からヒスイの石を見つけ出すのも難しいことでしょう。
でも、もしかしたらあるかも知れません。今ほどヒスイブームになる以前に作られたテトラポッドです。探し尽くされた海岸の石よりも確率は高いとも考えられます。

では、仮にテトラポッドの中にヒスイを見つけたとしたら、採ってもいいものなのでしょうか。
私としてはお薦めできません。海岸に打ち上げられた石と違って、テトラポッドは護岸や波消しを目的として人為的に置かれたものであるからです。一部といえどそれを叩き壊すのはいいこととは言えないでしょう。
ただ、波による風化が進んで、かなり崩れかけているテトラも多いです。ちょっと突ついただけで取れそうな石もあります。そういうところから採ってくる分には、大目に見てもらえるのではないかとも思います。
一方、何時間もかけて叩いてようやく取り出すようなことは止めてください。ヒスイ愛好家のモラルが問われてしまいます。それに、そんなに時間をかけるくらいなら、その時間だけ海岸を探した方がきっといいヒスイが見つかると思いますよ。

ヒスイとメノウは違いますか?翡翠(ヒスイ)と瑪瑙(メノウ)を混同している人もいるようですが、鉱物学的には全くの別物です。
メノウは石英を主体とする鉱物で、縞状の模様が入っているのが特徴です。
メノウに近いもので玉髄(ギョクズイ)というのもあります。
元が石英というありふれた鉱物ですので、比較的見つけやすい鉱物です。
メノウも縞模様がはっきりしていて濃い色が出ているものは高価ですが、天然ではなかなかないようです。
ヒスイ海岸ではメノウも見つかりますが、たいていはあまり見栄えのしないものが多いです。
メノウにも緑色をしたものがあって、それをヒスイと間違える人もいます。
メノウとヒスイの違いを少し紹介しておきましょう。
ヒスイもメノウも磨かれたものは光沢と透明感があって、どちらも美しいものですが、
メノウの方がガラスっぽい光沢で、指で触った感じもガラスっぽくつるつるしています。
一方ヒスイは、しっとりと濡れたように光っていて、指で触ったときもすべすべながらしっとりした感じがあります。
ただ、この感じは微妙ですし、両者を較べてみないと判りにくいと思います。
1000番くらいのサンドペーパーで磨くと、メノウはサンドペーパーに粉がたくさん付きます。
メノウの表面は白っぽくなり光沢がなくなります。
ヒスイの場合は、サンドペーパーの方がつるつるになり、光沢にはあまり影響がありません。
メノウの仕上げ磨きには、4000番くらいの磨粉が必要です。
ヒスイ海岸のメノウは、たいていはビンのかけらのような外観をしていて、
石とぶつかったところが白く粉っぽくなったりしています。
でも、そのまま表面が滑らかで光沢のあるものもあります。
色は無色、白色、褐色などが多いですが、深緑色、赤色などもまれにあります。
本当はヒスイの方が多いのでしょうが、ヒスイはすぐに拾われてしまうため、
メノウが見つかることも多いです。私にはメノウを見つけることも楽しみの一つです。ヒスイ海岸で、コランダムは見つかりますか?富山県側では分かりませんが、新潟県側の糸魚川や青海の海岸では、コランダムが見つかっています。
私は残念ながらまだ見つけたことはありません。
皆さんご存知のように、コランダムは酸化アルミニウム(アルミナ)から出来ていて、宝石のルビーやサファイアになるものもあります。
一般に、赤い色をしているものをルビーといい、青など赤以外の色をしているものはサファイアというそうです。日本国内でもコランダムの産地は少なく、しかも産出は赤か青のどちらかに限定される場合が多いのですが、ヒスイ海岸ではどちらも見つかる可能性があります。
白色のもの、青いものは、ヒスイと間違われることもあるそうです。
コランダムの特徴は、外観がごつごつした塊状になっている場合が多く、
ヒスイよりも硬く(硬度9)、また重い(比重4)です。
まれに六角板状または六角柱状の結晶も見つかるそうです。
この地域のコランダムは、内部に並行な条線が走っているのが確認されることが多いのも特徴の一つです。
ヒスイよりもずっとめずらしく、私もいつか見つけてみたい鉱物です。ヒスイは光を通しますか?良質なヒスイであれば、光を通す場合が多いです。
質のいいヒスイならば2cmくらいの厚みは十分に光が通過しますが、
それでも5cm以上の厚みを通過するのは難しいでしょう。
見た目には透き通っていなくても光が通ることを、鉱物の世界では亜透明と表現し、
これはヒスイの特徴の一つです。
暗室で、マグライトなどで光を当てると、反対側がぼんやりと明るくなって、光が透けているのが分かります。
特に緑色の部分は、見た目にも透明感があって、光を良く通すことが多いようです。
あまり不純物が多いと光を通しにくくなりますが、光が通らないからといって、
ヒスイでないとは限りません。
また、石英や曹長石も良く光を通すため、光が通るからヒスイだとも言い切れません。
私が拾ったヒスイでは、一部でも光を通すものと、ほとんど光を通さないものの比率は、
3:1くらいで、光を通すものの方が多いです。
白ヒスイでも、光を透過させてみると、内部の緑色が浮かび上がって見えるものもあります。
暗い部屋で、白、緑、紫、青などにぼんやりと光るヒスイは幻想的で美しく、
これもヒスイの楽しみの一つです。小さいヒスイの見分け方は?いつも大きなヒスイが見つかれば良いのですが、そんなに上手くはいきません。
重さで1gに満たないような、小砂利ほどの小さなヒスイらしい石しか見つからないこともあります。
残念ながらそんな小石は、地元の熟練者に見てもらっても笑われるだけです。
そんなの価値が無いとか、加工できない大きさでは意味が無いとか言われてしまいます。
でも、そんな小石でもヒスイはヒスイ。
自分で見つけたものなら他人には分からない価値があります。
出来れば鑑定して本当にヒスイだと確認したいところです。
外観はルーペで観察しましょう。そこまで小さくなっていれば不純物を含まず、
ほとんど純粋なヒスイ輝石だけになっているはずです。
磨かなくてもヒスイらしい光沢はあるはずですし、それなりの色をしているでしょう。
そのくらい小さくても角張っている場合が多いはずです。
小さいと比重測定も難しいですが、もし0.01gまで量れる天秤が使えるなら、
0.3gくらいの重さのある石なら、十分に糸吊り法で比重を測定できるでしょう。
これよりも小さく、また沢山ある中から見つけたいというのであれば、
これはもう重液選鉱法しかないでしょうね。
比重3くらいの溶液の中に鉱物を入れれば、溶液より重い石は沈み、軽い石は浮きます。海砂の中でヒスイを振れば重いヒスイは海砂の中を沈んで行かないかと試したことがありますが、これは上手くいきませんでした。どこまでがヒスイなの?ヒスイの鑑定で頭を悩ませる問題は、通常ヒスイいうのは、ヒスイ輝石(またはオンファス輝石)と他の鉱物が交じり合って一つの岩石となっているということです。
これは母岩の中にヒスイ原石が一部入っているということだけでなく、ヒスイ原石そのものの中に曹長石やソーダ沸石などが取り込まれている場合が多いということです。
ヒスイは繊維状に細長く伸びた結晶が複雑に絡み合った状態に成り易く、その隙間を埋めるように他の鉱物が混入しています。
そのため外観状はヒスイに間違いないと思える石であっても、比重が軽かったり、やや緻密さに欠けたりする場合があったり、およそヒスイとは思えない外観をしていながら実はヒスイという場合もあったりします。
しかしここで問題になるのは、どこまでの純度ならヒスイとして認めていいのかということです。
一般的に糸魚川~青海~朝日の一帯で採取されるヒスイは質のよいものが多いため、評価のレベルが高くなり、それ以外の地域で採取されるヒスイについてはもっと低い純度でもヒスイとして取り扱われているようです。
一般的には多少質は悪くても、ヒスイらしい特徴が認めれる場合には、営業上ヒスイ原石にしてしまっているものも多いと思われます。
私の見つけたヒスイでも、☆5~4個のものはかなり質の高いヒスイと考えていいと思いますが、☆3個以下の場合は、ヒスイであってもヒスイ純度の低い石であるという見方もできると思います。
自分が見つけた石をヒスイ屋さんに見てもらうときも、少しでもヒスイが含まれているように思えた石ならばきっと、ヒスイだと言ってくれることでしょう。
でもそのヒスイを買い取ってもらえますか、と訪ねればきっと買い取るには値しないヒスイだと返事が返ってくる場合が多いのではないかと思います。
遠来のお客様にはヒスイだと言って喜ばせてあげたいというサービス精神が働いていることもあるでしょう。
ヒスイかどうかということは、0か100かという区別ではなく、現実にはその中間的なケースも多いために見分けるのが一層難しくなっているのです。石の表面に結晶が付いているのがヒスイですか?地元のヒスイ探しの人にお伺いすると、海岸で見つけた石がヒスイかどうかを見分けるには、表面の結晶の有無を確認すればよい。と、教えてくださる方もいます。
本当でしょうか。
実際に、海岸で見つかるヒスイの中には、表面を光りにかざしてルーペなど見ると、微細な鱗片状の結晶が確認できる場合が多いようです。
ヒスイ輝石中のヒスイの結晶は細長く縒れていて、繊維状に複雑に絡み合った状態になっていると言われています。おそらくその繊維状の結晶の断面が見えているのでしょう。
ヒスイの表面に微細な結晶が確認できることは多いのです。
でも、表面に結晶がある石はすべてヒスイか、と言われれば、残念ながらそうではないのです。
キツネ石の代表である、軟玉ヒスイ(透緑閃石、アクチノ閃石)、蛇紋岩、ロディン岩など、いずれも石の表面に結晶が確認できる場合が少なくないのです。
ですから、表面に結晶が確認できるからといってもヒスイの決め手にはならないのです。
上記のキツネ石でないことを別に確認する必要があります。
また、表面に結晶の認められないヒスイも多くあります。ピンクヒスイはヒスイじゃないの?ヒスイ海岸でヒスイを探していると、まれに赤み、またはピンク色をしたヒスイらしい石を見つけることがあります。
一般にピンクヒスイと呼ばれている石です。世界最大のヒスイ産地であるミャンマーでは、実際に赤やオレンジのヒスイも見つかっているようですが、ヒスイ海岸で見つかった赤みのある石で、正式にヒスイを鑑定されたものは一つもありません。
ピンクヒスイと言われているのは、鉱物学的にはヒスイ輝石でなく、桃簾石に分類されます。
この石はロデイン岩中に含まれる場合が多く、斜灰簾石にマンガンと鉄が入り込んで、ピンクに発色したものと考えてもいいでしょう。(組成式から見ると、ちょっと問題もありますが・・)
しかし、このピンク、または赤みがかったヒスイらしき石、その質感・光沢など実にヒスイらしいのです。(ヒスイよりはやや壊れ易いようですが。)
地元のヒスイ名人と言われる方の中でも、ピンクヒスイをヒスイだと信じている人は多いようです。
ピンクのヒスイがヒスイでないことを知っているかどうかで、その方のヒスイ鑑定レベルを判断できるかも知れませんね。

ラベンダーヒスイと言われるのは紫色をしたヒスイで、これは本当のヒスイですが、発色が薄い場合にはピンクとの差は微妙になります。
一般にラベンダーヒスイは薄くても青紫色に近く、赤紫色の場合にはピンクと考えた方がいいでしょう。

また、ピンクヒスイはヒスイ輝石でないから価値がない。ということにはなりません。桃簾石でも透明度の高い宝石質のものはピンクタンザナイトなどと表現されて、貴石・半貴石のような扱いを受けているものもあります。もしかしたら未来の宝石でしょうか。

ヒスイが一番見つかる海岸はどこですか?うーん、難しい質問ですね。私も教えて欲しいです。
それに、もし知っていたとして、紹介して、ヒスイ探しの人が集中するようになったら、やっぱり見つけにくい海岸になってしまうことでしょう。
それでも、実際に色々な浜を巡ってみると、やはりヒスイが見つかりやすい浜、見つけにくい浜はあるようです。そして、同じ海岸でも場所によって比較的ヒスイが多く集まり易いところとそうでないところがあるようです。なぜなのでしょうか、そしてどんな海岸に集まり易く、また集まりにくいのか考えてみましょう。以前にも書きましたが、基本的にはヒスイ小石は、その他の小石とほぼ同じ動きをすると考えていいでしょう。ですからヒスイ海岸地域で小石がある浜ならばどこでもヒスイが見つかる可能性はあるのです。
しかし、どこの浜でも必ずヒスイを探す人がいて、海岸に打ち上げられたヒスイは次々と拾われていってしまいます。そのため、海岸の小石が波で入れ替わり易い浜が、一番ヒスイを見つけ易い浜ということになると思います。
具体的には、海岸にテトラポッドや護岸堤のない浜の方が見つけやすいということになるでしょう。しかし、見えないからといって安心はできません。近頃では海岸の景観を損ねないように、テトラを置かず、沖合いに岩礁・波消しブロックを沈める工事が多く行われているようです。これは海岸を眺めただけでは分かりませんね。ラベンダービーチや宮崎境海岸でもこの工事が行われたために、以前ほどヒスイが採れなくなったという話も聞きます。

普通に考えれば、海岸ヒスイは姫川・青海川から流れてきた岩石が漂石となって流れ着いているといわれていますから、姫川と青海川の間、具体的には須沢のシーサイドパークの浜や、ラベンダービーチが最も見つけ易い場所になっていいはずです。
しかし、実際にヒスイを探している人の間では、ここの海岸は意外にヒスイを見つけにくい場所として知られています。ここを探すくらいなら川を探すか、もっと周辺の、東側なら押上や大和川、西側なら市振や越中宮崎などの方がむしろ見つけ易いとも言われています。
ここの海岸の石を見てみると、他の海岸よりも石英質で最近割れたばかりのような石の比率が高いことに気が付きます。私のつたない経験では、割れたばかりの石が多い海岸にはヒスイが少ないように思います。
ラベンダービーチも西に行くと次第に丸みを帯びた石が多くなりますで、西側の方がヒスイを見つけやすいのではないかと密かに思っています。
これは私の独り善がりな仮説なのですが、川から流れ出たヒスイ原石は、いったん沖に運ばれて、そこで砕け、分散した後にまた海岸に戻ってくるのではないかと思うのです。
河口周辺では、川を下ってくる間にもどんどん壊れていく石英や蛇紋岩質の石が多く、もっと離れた海岸の方がヒスイが多くなる傾向があるのではないか。そして沖から戻ってくる途中にテトラや岩礁がある場合には、ヒスイはそこで遮られて、流れ着く量が少なくなっているのではないでしょうか。
でも、テトラや岩礁が必ずしも悪い訳ではありません。これらがない場所はもっと大きな石がゴロゴロと打ち上げられる浜になっています。それだけ大きなヒスイが見つかる可能性があることになりますが、滅多に見つかるものではありません。それよりも小石が沢山ある浜の方がヒスイの数としてはずっと多くなります。
またテトラや岩礁には必ず切れ目があり、そんな場所は石が入れ替わり易く、ヒスイ探しの絶好のポイントになっています。一般的にはヒスイを見つけにくいと言われている海岸でも、そういう場所を知っている人は確実に成果を挙げることができます。そこが地元・常連者と、たまに来た観光客との成績の違いになっているのでしょうか。
こういう場所はなかなか教えてもらえるものではありません。また、場所を言葉で説明しても分かりにくいでしょうし、季節・風・波の状態によって微妙に位置がずれることもあります。
残念ながら、何度も根気良く通いながら自分にとって一番の場所を探していくしかないようです。

光り方の違いでヒスイを見つけられますか?もっとお勉強のところにも書いていますが、良く磨かれたヒスイは一般的に樹脂光沢と言われる独特の光沢を持っています。海岸ヒスイは波に洗われて表面が既に磨かれた状態になっているものが多いですから、この光沢に注目すれば効率よくヒスイを見つけられそうな気がします。
でも、実際にそれでヒスイを見つけられるものでしょうか。
実際に試してみました。
一つ一つの石を瞬時に見分けていくのでなく、全体的に見渡しながらヒスイらしい光りの石を探していく方法です。
質のいいヒスイの場合は、他の石よりも明るく光って見えることが多いです。それも、石英質の石のような表面の乱反射によるギラギラした光ではなく、なんというか柔らかみを帯びていて、絹をイメージさせるような光り方をしています。
慣れが必要ですが、このヒスイの光り方を覚えると、穏やかな陽射しの下で、波打ち際の濡れた小石の中からヒスイを探すときには、結構効率よくヒスイを見つけることができるようになります。
特に朝夕の斜めから日が射しているときに、太陽を背にしながら探すときには見つけ易いようです。
曇り空や、水面下でもこの方法で見つけることができます。ただ、炎天下の強い陽射しの下や、乾いた石の中から見つけるのは難しいようです。
貝殻のかけらや、ロディン岩などはヒスイと同じような光り方をします。また、質の良くないヒスイの場合には見落としてしまうこともあるでしょう。
ヒスイの光り方に着目するのも一つの方法ですが、人によって視力の問題もあります。人それぞれ自分にあった石の見方でヒスイを探されるのがいいでしょう。

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