糸魚川市の糸魚川ー静岡構造線【フォッサマグナ】

糸魚川-静岡構造線は,新潟県糸魚川市から静岡県静岡市に至る長さ約250kmに及ぶ明瞭な断層帯である。日本列島を東北日本と西南日本に二分する大断層で,断層を境に西側が比較的古い時代の地質体,東側が新第三紀や第四紀の若い時代の地質体となる。断層の東側の地域は,ナウマン(H.E.Naumann:1854-1927)によりフォッサマグナ(FossaMagna=大きな溝)と呼ばれた地域で,およそ1,500万年前に日本列島がアジア大陸か
ら分離し日本海拡大時に形成された地質構造上の凹地である。糸魚川市根知では,古生代ペルム紀の舞鶴帯に帰属する変はんれい岩(琴沢火成岩類)
及び砂岩・泥岩(虫川層)と新生代新第三紀中新世の安山岩や砂岩が接する。東西両側の岩石の形成年代差は2億年以上で,糸魚川-静岡構造線の中で最大となる。この露頭では,断層運動による岩石の変形や破壊の影響の及ぶ幅約10m以上の断層破砕帯が良好に露出しており,断層運動によって形成された多様な岩種が観察できる。
以上のように,糸魚川市根知の糸魚川-静岡構造線は,東北日本と西南日本を画する第一級の断層であり,学術上貴重で良好に保存された断層である。

https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/92657301_03.pdf